男半裸体

「男半裸体」1901年(明治34)
青木 繁
1882年(明治15)~1911年(明治44)
水彩・紙 32. 5cm X23. 5cm

 3月に紹介しました「ランプ」と同じ年代に描かれた作品です。東京美術学校在学中の習作であろうか、人体把握の能力は実に的確で、視線をやや上向きに、清閑な表情をしたモデルの青年の肉体を見事に表現しています。鉛筆デッサンのあとが見えるぐらいの水彩の薄塗りですが、絵の具を巧みに駆使して明暗をみごとに描き分けています。19 歳の時に既に一流の水彩画法の「ぼかしとにじみ」のテクニックを身につけていたようです。前出の「ランプ」はこの作品の制作後に描かれたとされています。青木の油彩画も水彩画と同様に薄塗りの描法を特徴としています。  (河村 栄三)