絵葉書

「絵葉書」 1904年(明治37年)
青木繁
1882年(明治15)~1911年(明治44)
水彩・紙 9.0✕13.9cm

この作品が描かれた年(22歳)は、彼の創作力が頂点に達した時期といえよう。恋人の福田たね、友人の坂本繁二郎、森田恒友らと房州布良(現:千葉県館山市)で「海の幸」(重要文化財・アーティゾン美術館所蔵)を描いたのもこの年であった。
はがき大の小さな水彩画であるが、青木流の浪漫主義的作品の一つである。琴を弾く芸妓を中心に、それぞれがデフォルメされた姿勢で、和楽器を演奏している。黄士、朱、紫を基調とする暖色系の華麗な色彩を引き立てているのは、化粧をした女性たちの白い顔や手であろう。青木は、絵画をはがきやかるたや扇子などの日常品に結び付ける事に興味を持ち、数点の作品が残されている。(河村 栄三)