
「パンテオン」1911年作(明治44)
児島虎次郎
1881年(明治28)~1929年(昭和4)
油彩、板、41.0cm x32.8cm
パンテオンは、パリ5 区セーヌ川の左岸にある聖ジュヌヴィエーヴの丘に位置し、フランスの偉人たちを祀る霊廟である。ギリシャ十字型の平面に三重殻のドームとコリント式の円柱を持つ新古典主義建築の建築作品です。尊厳に満ちた建物側面を夕闇迫る時間帯に、刻々と変化する光や大気を印象派の特徴である紫を基調とした微妙な色合いで、正確に描いた幻想的な作品といえる。1902年、大原孫三郎(倉敷紡績社長)の学資援助で東京美術学校に入学。青木繁、熊谷守ーら多くの秀才が在籍していた。1908年には、ヨーロッパに留学し画家としての才能を開花させた。再度の渡欧は、孫三郎の依頼で西洋名画収集の旅でした。モネ、エル・グレコ、ゴーギャン、ロダンなどの作品を購入、大原美術館の有名な所蔵品の大半は、彼の手によって集められたものである。(河村 栄三)