
「レ・サーブル・ドロンヌ」1872年(明治5)
シャルル=フランソワ・ドービニー
1817年(文化18)~1878年(明治11)
油彩・キャンバス 24cm X 49cm
当館所蔵の「松方コレクション」4点の中から逸品を紹介します。
ドービニーは、パリ国立高等美術学校に通い、ポール・ドラローシュのアトリエで学んだ。1852年以降、バルビゾン派に属しコローらと共に古典的歴史風景ではなくオランダ派の影響を受けた風景画を描いた。特に1857年以降は、自身の所有する小舟「ボタン号」をアトリエとして使用し、セーヌ川やオワーズ川に浮かべて船の上から作成する即興的な作品は、後に印象派のモネたちに受け継がれ、大きな影響を与えた事は有名です。この作品もボタン号の上で描いたのか黒を基調とした一見暗い感じを受けるがヨーロッパ大陸を静かに流れる川を優雅にとらえている。レ・サーブル・ドロンヌは、ロワール河の河口より60kmほど南の大西洋に面した、海岸線の一角にある観光地です。
当館所蔵の「松方コレクション」は、1927年(昭和2)の経済恐慌の影響で松方幸次郎が社長を務めた川崎造船所(現川崎重工)が経営破綻し負債整理のため1929年に行われた第二回売立展覧会に出品された作品を落札したと聞いています。(河村 栄三)
