
「エターナル・アイドル」1914年(大3)
岸田 劉生
1891年(明治24)~1929年(昭和4)
油彩・板 21. 0X18.6cm
劉生という画家は、大正から昭和にかけて、波乱万丈な短い生涯を送り、多くの名作を残した孤高の画家です。自分の娘をモデルにした一連の「麗子像」の画家として有名です。
「エターナル・アイドル」とは、永遠に崇拝できる人という意味で、麗子が生まれた年に描かれ、モデルは妻と思われる。ゴッホやゴーギャンに代表される後期印象派に出会ったことで、アーチの装飾的画面に、光、顔の表情、手のしぐさなど、律動的な歯切れのよい筆致で描かれた宗教的雰囲気が漂う絵である。クリスチャンであった彼の妻に対する愛情が感じられる。
この翌年から「北方ルネサンス」の絵画に影響され、肖像画や代表作「切通の写生」「麗子像」など制作する。徹底した細密描写を求めながらも、内なる美との総合を目指す独自の方向であった。「写実的神秘派と呼ばれていい」と自称する。(河村 栄三)