「薔薇」1926年(昭和元年)
和田英作
1896年(明治7)~1959年(昭和34)
油彩・キャンバス  24.2✕33.0cm

薔薇の花は、富士山と並んで和田が最も得意としたモチーフの一つである。
この作品は、暗い茶系を背景に、たった今開きかけたような綺麗な薔薇が、赤一輪、ピンク二輪、くっきりと浮かび上がって描かれています。中央下の艶のある壺に生けられた薔薇の花は、造形的感覚で三角形に配され、静的で安定感のある構図になっています。又、花びらや、放射線状に生けられたシダが、全体の動静や広がりを感じさせ、職人的な写実技法が特徴です。
和田は、鹿児島県出身の洋画家で、明治から昭和にかけて活躍し、東京美術学校西洋画科助教授時代には、在学中の青木繁を教官として指導していました。昭和初期に東京美術学校の校長を務めた後、文化勲章を授けられました。(河村栄三)