五月の窓

「五月の窓」1947年(昭和22年)
宮本三郎
1905年(明治38)~1974年(昭和49)
油彩・キャンバス 53cm×41cm

第二次世界大戦中、抜群の素描力を認められ従軍画家として、藤田嗣治、小磯良平らとマレー半島、タイ、シンガポールなどに渡り、数々の戦争記録画を制作しました。中でも1942年作「山下・パーシバル両司令官会見図」(東京国立近代美術館所蔵)は、双方の息詰まる劇的一瞬の描写は、あまりにも有名である。
この作品の見どころは、構図の斬新さです。庭の新緑の木立を透かし陽光の射し込む窓辺で、夫人が瞑想に耽っているのか、編み物をしているのか、家事の疲れを癒している。渋めの色彩を巧妙に駆使し、優美な静けさを感じさせる。終戦後、日本の家庭にも平穏な生活が戻り、平和と安堵感が伝わってきそうです。(河村 栄三)