洋の東西を問わず酒の器に凝るのは人類文化の原点であり共通して見られる傾向である。ビールの本場ドイツといえばその器はビアジョッキということになる。
なかでも「メトラッハ窯」は有名で酒好きの庶民の生活、風習の図柄が特徴で、光沢のないクリーム地か薄茶色の地にユーモラスで屈託のない庶民の生活を充分にとらえ、イキイキと滅法明るく鑑賞する者を退屈させない。
この焼成法は、17世紀に完成された。一方、紺とグレーを基調とした食塩釉(ソルトグレーズ)のジョッキは重厚で渋くドイツ特有のものであり、15世紀頃から盛んに使われた焼成法である。
ちなみに「メトラッハ窯」は1920年頃窯を閉じたので現存する作品は少なく貴重なものである。 |